2018年10月18日

暴力の衝動


けふ、覚えず湧いたインパルス

「戦争中、私は少々しゃれた仕事をしてみたいと思った。
そこで率直な良心派のなかにまじって、たくみにレトリックを
使いながら、この一聯のエッセイを書いた。良心派は捕縛され
たが、私は完全に無視された。いまとなっては、殉教者面がで
きないのが残念でたまらない」

花田のこうしたレトリックを半世紀ほど嫌ってきた。そのことを
けふ、とつぜんおもいだした。「殉教者面ができないのが残念で
たまらない」と記したのは1946年7月のこと。「思うにいささか
巧みにレトリックを使いすぎたのである」と、花田は減らず口を
たたく。わたしはいらつく。殴りたくなる。

そうした衝動とこの間の感情はことなる。だが、冗舌をにくむわるい
癖は少しもなおらない。右の駄弁も左の多弁も、むかむかする。
ぶん殴りたくなる。新聞社の編集局におしかけて、ぐちゃぐちゃ
わけのわからぬことをしゃべりつづけていやがらせをする極右の
あんちゃん。在日コリアン虐めに法悦を感じているらしいアホども。

「一億総活躍社会」などと埒もないことをかたる者ども。「ぶれずに
あきらめない」とか宣う市民運動家のお喋り。胸クソがわるくなる。
殴りあいをするべきだ。へらへらしていてもはじまらない。




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2018年10月15日

訂正


◎紀伊國屋ホールの電話番号訂正!

先に添付した紀伊國屋ホールの電話番号に誤りがありました。
正しくは、03-3354-0141です。大変失礼をいたしました。
ご迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げます。 
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2018年10月12日

11月八重洲bc講演


11月16日夕は八重洲ブックセンターで

お知らせが前後してしまい申し訳ありません。来月16日(金)
夕には、添付のとおり八重洲ブックセンター本店8階ギャラリー
で講演します。なお、八重洲ブックセンターでの受付は10月17日
(水)からとなります。

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12月講演


◎2018/12/18新宿講演について

下記のように講演をする予定です。 

・日時・・2018年12月18日(火曜)18:30開演(18:00開場)
・場所・・新宿紀伊國屋ホール(新宿駅東口・紀伊國屋書店本店4F)
・問い合わせ・・03-3354-0141
・チケット販売・・10月20日(土)午前10時から


差し替え 新宿講演.jpg
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2018年10月09日

悪の凡庸


映画『ハンナ・アーレント』

おそろしくつまらなかった。凡庸な監督とダイコン役者どもによる
目を疑うほどの駄作。「ハイデガー」もバカ面さげて登場。失笑。
けっきょく、まともな演技者は、実写のアイヒマンだけというお粗末。
映画『ハンナ・アーレント』もまた、善にもなりかわる悪の凡庸さの
一例である。

みーちゃんにチーズケーキを一個さしあげる。

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2018年10月07日

無言歌


『無言歌』みる

甘粛省にはいったことがない、たしか。イライラしている。
王兵は『無言歌』もいい。大躍進の失敗、反右派闘争のころ、
どれほどたくさんのひとが死体を食ったか。生者さえ食われたか。
歴史は贖われない。そうされたためしがない。


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2018年10月06日

VIO



まったく神出鬼没だ。ギボが上海のスタバからメールしてくる。
これからバンドを散歩してきます。そのあとはvioのケア
にいくわ。感情失禁しちゃったなんとか前大臣のことは気にしな
くていいのよ。どのみちみんなあたまがイカれてんだから・・・。

テラスのメガラニアが赤い舌をだらりとたらして死んでいた。みー
ちゃんが「食べよ、食べよ!」という。「西のふぐ鍋、東のメガラ鍋
ていうでしょ!知らなかった。味噌煮。アンコウ鍋みたいにうまい。
ゼラチン質のところがとくに美味。犬もぱくつく。

鍋のそこに黄色のカラコンが沈んでいた。メガラニアの目から剥がれ
たのよ。そうにちがひなひわ!みーちゃんが急に目をつりあげて言い
はる。涙がうかんでいる。林芙美子だって上海でメガラニア鍋を食べ
ちゃったんだから・・・と泣きじゃくる。犬、逃げていく。

雹がふった。講演をひとつ辞退する。








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2018年10月05日

トカゲ


すっかりいい気になっている

テラスの植えこみに黒っぽいメガラニアが1匹棲みついているのを
けさ発見。みーちゃんに鶏肉をこうてきてもらい食わせる。犬吠え
ず。千駄木のカフェから電話。「義母」から。旭日旗は気色わるい
という。同感とこたえる。「だれか」や「なにか」が、すっかりいい
になっている。図にのっている。調子にのっている。つけあがって
いらっしゃる。

11月16日(金)夕、都内の書店で『月』関連のトークショー、また
12月18日(火)夕にも同様の講演を、新宿の書店ホールにておこなう
ことになりました。詳細はまた本ブログなどでおしらせします。
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2018年10月04日

カラコン


わたしに義母はいたのか。どこに消えたか?

今朝、犬の糞のなかにひかるものがあるので顔をよせると、
紫色のカラコンだった。変な話だ。なくしたのはカラコン
じゃない。からかわれているのか。だれに?

犬の腸内でレンズが紫色に化学変化したのだろうか。水道で
水洗いする。クソまみれだったカラコンを右目につける。
ペタリ。風景が焦点をむすぶ。犬の顔が急に老けてみえる。

洗面所で鏡をみる。フィンランド人みたいな、灰青色の目。
気に入る。しばらくみいる。ふとおもう。大島のこと。
義母のこと。河川敷。六価クロム。腐乱死体・・・。

そもそもわたしに義母はいたのか。そこからおもいかえす
ひつようがあるのかもしれない。あの「義母めく老婦人」は、
では、だれだったのか。公安がそこまでやるだろうか。

老人テロリストの話を書いてみないか、とそそのかしたのは、
たしか、義母的なかのじょだったのではなかったか。背中の
できものに薬をぬってもらっているとき。こちらとしては
負い目もある。生返事をしたかもしれない。

肩痛。魚のうろこみたいなカラコン。外す。











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2018年10月03日

D懇談


『月』カバー最終調整その他

月カバー最終.jpg
(クリックで画像拡大)

鈴木成一さん入魂のカバー最終調整。文句なし。

けさ、おもいたってDとお茶。息せき切ったように話す。
ときおり鋭い目がひかる。コンタクトレンズのこと
訊かれる。右目はしてないだろう? 図星。『月』
を読んでいた。

オリンピックはやめてほしいと話す。戦時体制化
しちゃっている。〈東京五輪メダル「銀」まだ足りない、
小中学校でも回収へ〉だと。金属供出。アホか。

台風、地震のたびに、現行極右政権がよろこぶ。これ
だけやくたいもないゴロツキどもを、メディアと民衆が
支える。天皇夫婦は「神」に近づく。その気にさせちゃ
う。その気になっちゃってる。

『月』の次はなにを書きゃいいかな? Dいわく。「あんた、
そりゃあ老人テロリストの話やろ、とうぜん」。わたひ
「・・・・・・」

今夜もYouTubeで「日本ニュース」をみよう。晴れやかな顔
して戦時をむかえよう。




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2018年10月02日

マフィア


こちらの目がわるいのか

テレビで政治家の顔をみていると、マフィアか暴力団にしか
みえない。目を瞬いてみてもおなじ。ここまで下卑た顔に
なるには、どうすればよいのか。犬や馬たちのほうが
よっぽど上品で、かなしい目をしている。



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2018年10月01日

ホワイト・ゴッド


日本ニュース

この数か月、寝るまえは毎晩、デパス、レンドルミンをのみ、
YouTubeで「日本ニュース」(社団法人日本映画社)をみる。
どうしてか。わからない。ため息をついて寝る。

きのう『ホワイト・ゴッド』をみた。じぶんがどれほど犬好きか
(ひとぎらいか)わかって、やや混乱。ハンガリー革命を想う。
終盤、人間の「枝肉」を売っている肉屋があったとおもうが、見まち
がいか。

文庫『自分自身への審問』と『いまここに在ることの恥』の2冊
、ほんのちょっぴりだが、重版だという。これらを買い、読んで
いるひとがいることにおどろく。

11月と12月に、『月』刊行関連の講演を都内の書店でおこなう予定
です。たぶん、八重洲と新宿。詳細は後日。

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2018年09月29日

再会


朴日粉さんの出版記念会に出席

昨夜は畏友、日粉(イルブン)さんの出版(『過去から学び、現在(いま)
に橋をかける』梨の木舎刊)記念会に出席、上梓と久方ぶりの再会をよろこ
んだ。詩人、李芳世(リ・パンセ)さんもいらしていて、大もりあがりだった。
昂奮のるつぼのなかで、祝辞でなにを言うか忘れてしまい大失態。反省。

イルブンさんは「大きなひと」だ。おべんちゃら、なれあいをきらう。
みていないようで、じっとみている。政治的なたちまわりも、たぶん、
きらっている。瑣事にこだわらない。ユーモアを解する。ブラックユーモア
を知っている。ニッポン近代の泥闇を、在日一世たちへの取材をつうじて
追体験している。

昨夜はパンセさんにささえられてあるいた。イルブンさんもパンセさんも、
「現存在が迫ってくる」ような、胸にせまる存在である。現ではなく原
存在と言いたくなる。



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2018年09月27日

『月』


『月』単行本再校ゲラもどす!

『月』単行本用再校ゲラ確認が終わった。けふ、送った。10月下旬、
角川書店から刊行される。


月表1jpeg.jpg
(クリックで画像拡大)
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2018年09月24日

みゆ帰る


布施辰治について書く

みゆちゃん帰る。肩痛。まいどおなじみ。というか、日に日に激化。
痛え。締め切りがくるので、布施辰治について書く。片目コンタクト
で。神戸屋のいちごジャムパン食う。おかげさまで100周年。
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2018年09月22日

みゆちゃん


◎犬あずかる

滝川夫妻が旅行のため、みゆちゃん(ボーダーコリー的ミックス♀)をあずかる。
今のところ、おとなしい。この大きさだとマックは無理。上目づかいにこちらを
うかがう。みゆちゃん。9才。

いつまでもお隣さんのトイレをかりるわけにもゆかず、ついに水ながす。コンタクト
レンズもながれたはず。片目だけコンタクトレンズ。眼鏡屋にいくのが面倒。

『月』単行本の定価が1700円にきまったという。装幀は鈴木成一さん。来週にも本
ブログでお披露目の予定。


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2018年09月21日

K氏


「無理がきかないのを・・・」

しばらく会わぬまに小比類巻氏はずいぶん痩せていて、
頬骨が黄ばんだ皮膚をやぶってつきでてきそうだった。
「無理がきかないのを承知で無理するのが人間ってもん
だ」てなことを言う。・・・が人間というものだ、という
言い方はきらいだ。その旨かれに言う。気まずくなる。

コンタクトレンズのことは告げてない。けふ単行本『月』
の再校ゲラがくる予定。ゲラがきた。みるまえから疲れを
感じる。32頁までやる。

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2018年09月20日

cl


◎指の先から逃げてゆく

便器にかがみこむ。よくみえない。ただ、かすかにみえる気がしている。
左膝を床につけ、右膝はややのばしぎみにする。左手の中指が水中でなにかに
さわった。気がする。コンタクトレンズだとおもう。そうおもいたがる。
人差し指に応援をあおぎ、そのものをはさもうとする。失敗。指の先から
そのものがするりと逃げてゆく。

サイレンが鳴っている。だんだん遠のいてゆく。声。義母だ。義母が背後から
声をかけてくる。「トイレ使っちゃだめなの?困っちゃうわね・・・」。責められ
ている。息をととのえ、うしろむきのまま、お隣さんのトイレをかりてほしいと
いう。義母は「そんな・・・のことは・・・」と口ごもるが、よく聞きとれない。便器の
底がぬらぬらしている。

小比類巻氏と夕食。





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2018年09月18日

コンタクトレンズ


◎落とした

コンタクトレンズを落とした。右のレンズ。トイレに。水をながさず、
しゃがみこみ、左手をトイレの汚水につっこみ、しばらくまさぐる。
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2018年08月26日

556分


『鉄西区』を見終える

長い長い胎内くぐりであった。9時間26分。身体の経験と
しては、それ以上の、何千倍もの長さと深さであった。かんたんな
言語化は無意味だろうし不可能だ。自己体内の臓腑のなかをへめぐ
ってきた者に感想をもとめたとて、なにを語りうるか。

これを他の映画的経験と同列で論じることができるか、うたがわし
い。事実。風景。顔。思想。倦怠。腐敗。昂揚。組織。秩序。無秩序。
冷却。溶解。泥。貧困ー貧困ー貧困。凝視。崩壊。残滓。影。肉体。排泄。
徒労。反復。歴史。反ー歴史。痰。無限。無ー世界。反ー世界。非ー物語。
火。焔。灯。陰翳。地平線。疎林。ゴミ溜。ことば。反ーことば。死。
背信。愛。夕陽。闇ー闇ー闇。困憊・・・。

『鉄西区』をどうみるか。わたしは文句なしに起ちあがり拍手する。






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2018年08月25日


◎「フイは帰っていいよ

うす汚い犬がでてくる。その表情がいい。闇も列車も雪もいい。
こういうことなのだな。とおもえる。「フイは帰っていいよ」と
だれかが言った。フイではなくホイか。どうでもいいことばが
石炭屑みたいで、でも、やはり活きている。

遠景がいい。近景もいい。少しもウソくさくない。あの息子が
すばらしい。涙。物語はこちらでかんがえればいい。見上げる犬
の目。垂れ耳。ひとびとの顔。垢。手洟。夕焼け。わたしは長い
ことなにかを誤解していたのかもしれない。
続きを読む
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2018年08月23日

あたま朦朧


眠い!

生活クラブ連合会の雑誌「生活と自治」の連載第57回を執筆、
送稿す。天皇さまのこと。「満州事変」で勅語を発し、関東軍
をほめたたえたこととか。それでもジンミンタイシュウは天皇
だいすきであること。平成天皇は昭和天皇の戦争責任に公式に
言及したことはないこと。

朝日新聞社旗はなぜ旭日旗に似ているのか。きもちわるくならな
いのか。おきもちよくなるのか。眠ひ。
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2018年08月22日

掲載記事


忘れないために・・・

忘れないために、8月8日付東京新聞の掲載記事を添付する。
もくろみどおりに人びとはもうけろりと忘れはじめている。
謀りのとおりに。

東京新聞8.8.jpg
(クリックで拡大)
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2018年08月21日

奉天


『鉄西区』の無限と夢幻

息をのむカットがこれみよがしではなく、あたりまえの
ようにいくつもある。極大にして極小、かつ最深の闇。
ここがかつて「奉天」といわれたところなのだ・・・とおも
いかえすたびに、王兵の目のすごさに痛打される。

Fと話す。

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2018年08月20日

フォーマット


◎迅速!

『月』本文フォーマットみせてもらう。想像よりはるかに
いい。組みもきれい。
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送稿


『月』書籍用を送稿

昨日、『月』入稿用565枚送稿。茫然。からだから肝という肝を
ぬかれたみたいに。けふ『鉄西区』にもどる。粉砕される。
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2018年08月02日


あらきのみやを覗くなかれ

なぜなら、それはやってはいけないからだ。ぜったいに。
『月』入稿用チェック。改稿、加筆。Fとランチ。「赤坂
自民亭」には記者たちもいたという。いたのだが報じなか
った。なんということだろう!
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2018年08月01日

不気味


どうしても地金がでるのだ

『月』入稿用のチェック、改稿。20日までPCがもちますように。
マック。いくら気どったって、かならず地金がでるのだ。馬脚を
現す。お里がしれるのさ。死刑と天皇制。5分もしゃべらせてみ
な。5行も書かせてみろ。バレバレ。
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2018年07月31日

寄稿


再び処刑関連原稿

「人びとはこれを望んだのかーー気づかざる荒みと未来」と題する
一文(7枚)を寄稿しました。共同通信から各加盟紙に配信されます。
ご一読ください。原稿の末尾で、村上春樹氏の発言(7月29日付毎日
新聞)を批判しました。

氏は「『私は死刑制度には反対です』とは、少なくともこの件に関しては、
簡単には公言できないでいる。『この犯人はとても赦すことができない。
一刻も早く死刑を執行してほしい』という一部遺族の気持ちは、痛いほど
伝わってくる」と述べている。

被害者感情と処刑(死刑制度)を同一線上でかたるのは、よくありがちな
錯誤である。前者の魂は後者の殺人によっては本質的にすくわれない、と
わたしは書いた。

にしても、村上氏の文には正直おどろいた。
「・・・林泰男の裁判における木村裁判長の判断に関する限り、納得でき
ない箇所はほとんど見受けられなかった。判決文も要を得て、静謐な人の
情に溢れたものだった」

極刑判決をほめたたえる神経は、わたしにはとうてい理解不能だ。









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2018年07月28日

個人の孤立化


だからまた社会的戦争(透明の)

「つまり万人対万人の戦争が、ここでは公然と布告されている。
・・・人びとはたがいを役にたつ奴としか見ていない。だれもが
他人を搾取する・・・」

たいがいにしろ。もういいだろう。そらぞらしい。ここでは30人
を一挙に処刑しても暴動などおきないんだ。わかっている。

オウムについては『不安の世紀から』(角川文庫)であらかたいい
つくしている。一斉処刑をのぞけば。
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2018年07月27日

うるわしき首都


処刑愛好国の美しい首都をたずねて

西武球場には空調がない。西武がケチだからだ。タクシーの運転手は
言った。セキュリティ対策でクーラーボックスをもってけない。缶ビ
ール1缶だけ。以前はクーラーボックスいっぱいに飲み物を入れてっ
たんだ。処刑の話はしない。西武球場では公開処刑やってないし。

レストラン従業員がクッションをもってくる。よかったら背中にあてて
くださいね。はよ死ねよ、身障ジジイ、なんて言わない。昨夜、おもい
だした。「世界を救うために、世界を滅ぼす」。そのことをまたおもい
だす。もう滅んでるよ。

いっけん死刑に疑義をていするかのごとき新聞コラム2本みる。弱っちい
犬が股に尻尾はさんで後ずさりしながら吠えてるみたいな駄文。はっきり
と反対といわないかぎり、賛成とおんなじなんだよ、死刑ってのは。筆者
は知っている。卑怯者め。良心派≠無傷で気どりたいだけだろ。

『もの食う人びと』に、モスクワのオーム信者のことがちらりと書かれてい
る。じぶんが書いたのに、ちょっとおどろく。



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2018年07月26日

おかしくはないのか


「処刑愛好国」のコクミンであることについて

あなたがたはなぜ処刑をつづけるのか。そんなにも絞首刑がすき
あのか。なぜすきになれるのか。絞首刑を執行する生きた主体は
だれか。それは「かれら」ではなく、「われわれ」であり、この
「わたくし」ではないのか。

このクニはなぜ斯程までに処刑を愛好するのか。処刑愛好国のコク
ミンであるとはどういうことか。どんな目つきか。どんな語り口か。
どんな声音か。ごまかしてはならない。わたしたちは朝方の絞首刑
をこよなく愛するコクミンなのだ。

「夏休み子ども電話相談室」のとちゅうで、ふたたびの大量処刑を
知った。昆虫がテーマだったからだろう、ニンゲンにかんする質問は
なかった。「ニンゲンはなぜニンゲンを吊し首にして殺すのですか」
「昆虫はなぜ死刑をやらないのですか」ーーといった質問はなかった。

2度目の大量処刑について、寄稿の依頼があった。了承した。約7枚。
締め切りは31日正午。わたしは生きているあいだに、死刑について
なんかい原稿を書くのだろうか。なんだか恥ずかしいことのような気
がする・・・それは。とんでもない話だ。大量処刑について、わたしは
ついせんだって書いたばかりなのだ。

『鉄西区』みる。










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2018年07月25日

沖縄紙


琉球新報も掲載

「むごい夏ーー処刑とクチナシの花」は琉球新報も掲載した。
沖縄紙が載せてくれるとうれしい。むかしからそうだった。ホ
ンド紙よりはまだマシとおもっている。目取真俊さんは読んで
くれただろうか。

バカパソコンが勝手に再起動をくりかえすので買いかえを決心。
念のため修理センターに電話すると、さんざ待たされたけれど、
ハキハキした女性がでてきて修理方法をおしえてもらう。よう
わからんけど、電源ボタンを空押ししたり、デフォルトしたり、
設定をかえたり。

ひょっとしたら、直ったかも。こんなことで厭世観がちょっと変
わったりして、おめえ、アホじゃないか。でも、単行本『月』の
原稿加筆修正作業はつかいなれたパソコンでできるかもしれない。
テキストファイルは今週金曜日に入る予定。


また『鉄西区』のつづきみる。引きこまれたままだ。王兵作品は
中国観と世界観と人間観を土台から変えさせるちからをもってい
る。映画の概念がくつがえる。


posted by Yo Hemmi at 14:09| お知らせ | 更新情報をチェックする

2018年07月24日

「ともに、生きる」の政治性


きみらも犯人ではないか?

「ともに、生きる」になぜ虫酸がはしるのか。にこやかに微笑みながら
、重度障害者への社会的殺意≠ネどないですよと演出するその政治性が
きもちわるいのだ。きみらはだれにたのまれたのでもなく、ニッポンの
善≠謳う。戦前も戦中も戦後も一本調子でそうしてきた。こんごも
そうするだろう。

強制不妊手術の社会的承認(合意)も、やまゆりの犯人と虞犯者が、じ
つはおびただしい数にのぼることを示している。あなたがたは受信料を
とりたてて真相を隠ぺいしている。やまゆりの根の深さを、なぜ隠すの
か。

「重度重複障害者」と呼ばれる人々の存在論をどこまでも追究し模索しな
ければならない。
posted by Yo Hemmi at 18:37| お知らせ | 更新情報をチェックする

『月』10月刊行


『月』書籍化について

うちあわせ。暑いなかを編集者が都心から足をはこんでくれた。
『月』単行本は10月刊行(角川書店)とすることでまとまった。
入稿は8月8日ないし同20日。いくぶん手を入れる。ゲラのやり
とりなどで炎夏をしのげるか。

7人一斉処刑にかんするエッセイ「むごい夏」は、信濃毎日新聞
夕刊も掲載した。クリックしてみてください。

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2018年07月23日

「健全な国民意識」の形成


きみらがやっているすばらしいことーーでっちあげ

みひちゃんが言う。いま39度。アベとアソーに甲子園名物かちわり
氷を配らせろ。各戸に無料で。おれはいらない。あいつらの顔みと
ない。やつらを甲子園の内野に生き埋めにしたほうがいい。ベース
のかわりじゃない。そんなん気色わり。地中深くだ。

きみらにこのクニの「意識司令塔」をやってくれとたのんだおぼえ
はない。いったいだれにたのまれたんだ? おれはラジオの第二放送
「ポルトガル語ニュース」「韓国語講座」は聴くけど、テレビはほと
んどみない。金返せ。

9時のニュースはひどい。中学校の放送部か、あんたらは? 無批判
、無思想、無抵抗、問題意識ゼロ。野球のホームベースみたいな顔の
あんちゃん。なんだ、あんたの平穏顔は?世の中そんなに安泰かい?
そんなに楽しいかい。おれはラジオの第二放送「ポルトガル語ニュース」
「韓国語講座」は聴くけど、テレビはたまにしかみない。金返せ。

周年番組って、だいたいろくなもんじゃない。やまゆり2周年もひどい
もんだ。つくるまえから骨格ができている。フレームにあうように発言
を編集しまくる。T周年のときはおれもかりだされたのさ。インタビュー
2時間プラス収録現場まで往復1時間以上かけて、実際の放送は片言隻句
だけの5分未満。ノーギャラ。ばっかみたい。

世の中をなめている。暗部を消しさり、災害も障害者殺しもけっきょくは
ハートウォーミング・ストーリーにしたてあげる。でっちあげだ。身内に
重度重複障害者をもつ友人は怒り心頭だった。なにがリアルでなにがアン
リアルか、きみらはとりちがえている。故意にか無意識(アホだから)か。
重度重複障害者をもつ家族のすさまじい苦悩の劈開面をきみらは隠している。

きみらの先輩たちは営々としてニッポンという「健全な国民意識」の育成
にまいしんしてきた。世の中はすてたもんじゃない。善男善女だらけだ。
豪雨に地震に津波に熱波に戦争・・・そうだ、絆だ。ニッポンジンは手をとりあ
う。助けあう。佐藤直樹は書いた。「なぜ日本では略奪も暴動もおきないのか」
(『犯罪の世間学』青弓社 2015年)ーーすぐれた問題提起じゃないか!

佐藤は言う。「私の答えは簡単である。それは『世間』があるからだ」。
この世間には、のど自慢や紅白歌合戦やタモリ、ツルベら登場の徹底無思考
番組をこれでもかこれでもかとつくりあげているきみらがつつがなく包摂され、
きみらがさらに世間を再生産する。世間の心的頂点には、わかってるよね、
聖なる両陛下がおわしまする。

「ともに、生きる」をみていて腸が煮えくりかえった。うそをつくんじゃない。
でっちあげるんじゃない。きみらは苦しみと狂気がからまりあって、うなり声を
あげてのたうちまわるさまをみなかったのか。「ともに、生きる」の発想こそが
差別の淵源にあることがわからないのか。「ともに、生きる」が完ぺきに隠しと
おした(非在者≠ニされた)人々にこそ思考の端緒があるのがわからないのか。

ひきつづき『鉄西区』みる。なぎたおされる。








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2018年07月22日

やまゆり


「善」の「悪」

ゆうべNHKの「ともに、生きる」をみた。あまりにも予想どおりの
平板な中身にため息。どうしてかれらは現状をあんなにも懸命に肯定
したがるのか。

「ともに、生きる」は、いかにも善めかした悪の宣伝ではないのか。
まるで国策ドキュメンタリー。まるで、ではない。まさに厚労省推薦
にふさわしい反動的国策ドキュメンタリーだ。

19人を殺害したあの青年はけっきょく「だれ」だったのか。さとくん
は笑いながら遠ざかる。「ぼくはだれでしょうか・・・?」と言いつつ。
そう、きみはまだ負けていない。まだ。

ワンビンならどう撮ったか。いうもおろか。「ともに、生きる」のよう
にはせったいに撮らない。「ともに、生きる」なんて恥ずかしいタイト
ルをつけない。
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2018年07月20日

鉄西区


◎王兵という文学

ワンビンの作品をみるのは、すぐれた長篇を読むのに似ている。
みているうちに、これが現代文学なのか古典なのかわすれてしま
う。巨大怪獣の死体のような工場=廃墟。のなかを、臓腑にもぐ
りこむようにしてめぐりめぐる。映画的経験か文学的経験か、あ
るいは絵画的経験か・・・どちらでもよい。

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2018年07月19日

土下座甲子園


◎アラン・シリトーなら書くだろう

アラン・シリトーならまちがいなく書くだろうな。こんなクソ暑い日には、
首相、全閣僚が甲子園球場の内野に土下座して、全コクミンへの「お詫びの
ことば」を発表しなければならない。「こんなに暑くて熱中症で亡くなる
みなさんが続出しているのは現政権の悪政のせいです」。甲子園の土にひた
いをこすりつけて、30分間謝罪すべきである。「申し訳ありません!」

アラン・シリトーならまちがいなく書くだろう。両陛下ならびに皇族たちも
甲子園球場の内野に土下座し、コクミンに謝罪するのである。以下、ありが
たきおことば。「わたしたちだけが国税によって涼しくすごし、うまいもの
をたらふく食ってすまなんだ」「なんじ臣民、熱で死ね!」

「むごい夏ーー処刑とクチナシの花」は東奥日報も掲載しました。
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2018年07月18日

処刑日の夕刊


◎マルクス・ガブリエルの記事(毎日)

7月6日といえば、7人一挙処刑という忘れがたい日だったが、
その日の毎日新聞夕刊特集面「政治に倫理は大事なもので
なくなった」は一読に値する。マルクス・ガブリエルへの
藤原章生さんのインタビュー記事。

「21世紀型ファシズム」について縷々述べており、わたしの
以前の発言も引用している。7人一挙処刑へのガブリエルの
感想も知りたかったが、記事は7・6前のものだったろうから
しかたがない。

7人一挙絞首刑も豪雨災害報道も「21世紀型日本ファシズム」
のあらわれにみえてしょうがないのだが・・・。
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遷延


◎通夜


遷延とは、長びくこと。のびのびになること。また、のびのびにすること
である。なら、そうかんたんにいえばよい。センエンとよべば存在の内実が
かわるわけでもないのに遷延というのはまやかしだ。わかったふりをしたい
だけである。通夜。

あの方の目には、なにがどうみえていたのか。みえていなかったのか。「在る」
にはまったく容赦がない。適度に在るなんて、ないのだ。「在る」はいつも常軌
を逸している。疲れる。そして、「疲労は存在するものによって存在することに
もたらされる遅延のごときものだ」

かくして、「この遅延が現在を構成する」。ほんとうだろうか。
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掲載状況


◎大分合同新聞、長崎新聞なども掲載

「むごい夏ーー処刑とクチナシの花」は、大分合同新聞、長崎新聞
なども掲載しました。今月6日の7人一挙処刑にわたしはこだわって
います。国家がなしうる数少ない善政は死刑の廃止です。わたしは
この国の首相や副首相、法相ら明白な犯罪容疑者らの絞首刑にさえ
反対します。

しかし、7人処刑の前夜に酒盛りをやっていたものたちの道義の廃れ
がみずから招きよせるであろう各種の悲劇には、なんらの責任ももち
えません。大量殺りくの前夜に酒宴に興じた品性は、それじしん、ま
ことに悲惨なのであり、あるいは不幸をやくそくされているとおもい
ます。

あの日から歌手は声がでなくなってあたりまえなのだ。





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2018年07月17日

掲載


◎河北新報などが掲載

共同通信からのれんらくでは、エッセイ「むごい夏ーー
処刑とクチナシの花」は河北新報や北日本新聞などが掲載
しているようです。

王兵『鉄西区』。英語字幕版。日本語字幕も。ワンビンの目は
昏くかなしげで、しかもたとえようもないほど圧倒的である。
王兵をだれかと比較しようとするのは無意味だ。
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逝く


◎昼下がり、逝く

その方が13時40分に旅立たれた。というより、これでやっと
永遠に休めることになった。長いこと遷延性の昏睡におちいり、
わたしはずっと写真の寝顔≠みつづけた。『月』を書かせ
てくれたのは、あの方の不在のような実在だった。『月』の
脱稿をまっていたかのように、かれはひっそりと逝った。

意識がないとみなされるものの内面について、かれはわたしに
もっとかんがえるよう迫った。かれはなにひとつその身ではでき
ないのだった。発声も歩行もまばたきも。抱擁も殴打も排泄も。
指一本うごかなかった。痙攣のようなかすかな震え以外はなにも
うごきはしなかった。

夢をみているのかどうかも、しかとはわからない。家族は、みてい
ると主張したが、医師はまったく無関心だった。わたしはみている
と確信していた。それが「夢」というにふさわしいかどうかべつにし
ても。けっきょく、その方はさいごまで自己存在を主張しようとは
しなかったのだ。抗弁も自己弁護も、ついにしなかった。証そうと
すら。

かれは長く生と死のあわいにあった。もしくはそのようにみなされ
た。そうした位置づけを、わたしは大ざっぱすぎるとかんじていた。
生と遷延性の無意識と死。区切り方がこれでは乱暴である。とじた
瞼の下で、その方の眼球はぐりぐりとうごき、のどはなにごとか語ろ
うとして、のどぼとけをさかんに上下させた。

生と死とそのあわいのほかに、さまざまの存在的な領域があることを
おしえられた。透明度の高い、あるいは混濁した領域である。

その方はまた、わたしにこういうことをおしえた。うすれゆく意識の
がわからは、いったいなにがみえているのかーー視点の入れ替えがだ
いじなのだよ、と。つまり、なにも語らぬものに、わたしはどうみら
れているのか。寝姿はさらに、存在に意味と価値はつきものではない
・・・と、つよく示唆していた。わたしは『月』を書いて応答するしかな
かったのだ。

かれはもはや無用の生ゴミであった。尊厳もヘチマもありはしない。
無用の生ゴミには、屈辱をかんじるけんりもない。無用の生ゴミは
すでに弱者ですらない。無用の生ゴミは、おどろくべきことには、まっ
たく共感も同情ももとめないのであった。写真を、わたしはまいにちま
いにちみつづけた。意訳にすぎるかもしれない。〈ほっといてくれ!〉
ーーかれはそうつぶやいていた。

存在とはなにか。非在とはなにか。存在は非在にまさるか。非在は存在に
劣るか。その方はまいにちわたしに問うた。シャラーモフは最後には
憎しみがのこると書いたし、それはそれでわたしを魅入らせもしたのだが、
その方にはいつも律儀な愛がただよっていたようにおもう。かれはけふ
午後1時40分に発った。わたしは犬にそのことをつたえた。犬はおすわり
をし、神妙な目で聴いていた。悲しい目になった。

その方の「位置」はわたしをひきつけてやまなかった。その位置には、わた
しの問いへの切実な答えがあったからだ。まちがいなかろう。かれは『月』
の完了をまっていたのだ。かれの写真をみつめ、『月』を書きつつ、おもっ
たものだ。「無」にとっては、夢さえわずらわしいことだろう。『月』最終
回は今夕、校了した。奇しくも、というべきではない。ひとのなすことのす
べてが奇しきうんめいのなかにあるのだから。

宙づりの影のように、あれほど存在のかなしみをたたえたひとだったのに、
わたしはけふの不在にまったく慣れてはいなかった。備えがなかったのだ。
いまさら、うろたえている。
















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2018年07月13日

むごい夏


◎処刑とクチナシの花

すでに配信されているとおもう。昨日、共同通信に「むごい夏
ーー処刑とクチナシの花」を寄稿した。約7枚。加盟各紙に掲載
されたらご一読いただければさいわいです。にしても、ひどい
夏だ。大量処刑の前夜、サイコパス政権幹部は飲めや歌えの大宴会
をやっていた。

どうすればよいのか。どうすれば? それぞれがそれぞれに身の振り
方をきめるしかない。友人がさいきん精神科病棟に収容されたらしい。
べつの友人は『八月の光』を精読しおえた。わたしは『月』最終回の
再校ゲラをけふ、もどした。

みなが狂いはじめた。当然の生体反応である。わたしたちはもっと狂う
べきだ。そして、もっと狂うはずである。さらに狂わなければならない。
もう気のきいたことなど、いおうとしないことだ。わたしは気のきいた
ことをいわない。和辻はいった。

しめやかな激情、戦闘的な恬淡。ヌッポンズンはもともとキの字
なのである。

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2018年07月10日

ゲラ


◎『月』最終回初校ゲラもどし、その他

わたしじしんはちっとも再起動しないのだが、PCがかってに再
起動をくりかえすやうになったので、『月』最終回初校ゲラをさ
っき急いでもどした。といっても、かなり手をいれた。あれだけの
こと(処刑)をやっておきながら、もう、なんにもなかったかのよ
うな顔つき。

残虐なことが、がくめんどおり殘虐なこととしてつたわらない。そ
れこそがなによりも殘虐なのだ。ことごとく切実さがぬきとられる。
リアルはたちまちアンリアルに変じる。漫才のかたわれが大量処刑
賛成だという。だれもが最低限のつつしみさえ失いつつある。だから
こそであろう、さらにおぞましい「凶」を予感する。

国家による殺りくにかんし、原稿の依頼があり、OKした。締め切り
は金曜午前。いきづまったら、ツェランをよむ。それしかない。「死」
にことばの翳りをあたえて。


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2018年07月08日

暴力の母型


◎いま、なにが到来しているのか?

ニッポン型の大量処刑は、不可視であるがゆえに、幻想のなかに
あるしゅ爆発的なスペクタクルを展示してみせた。民主主義は、
そのなまえを僭称したまま、未聞かつ最悪の暴力的専制と化して
いることを、おそらくは故意にさらけだし、そうすることにより、
まつろわぬものたちをはげしく恫喝したのだった。

人民の多くは、国家による殺りくに酔いしれた。政治から排除さ
れているルンプロ的人民たちも、政権の英断≠ノ拍手をおくった。
いかなる抵抗も対抗も困難である。なぜなら、最悪の暴力的専制
は、あらゆるしゅるいの社会的同一性の解体後の砂漠にたちあらわ
れ、もっとも脆弱で貧しい人民をもみかたにつけているからだ。

死刑こそが国家暴力の母型である。それは戦争というスペクタクル
の、最小単位の顕示である。気づくものは、つとに気づいている。
戦後政治に比類ない、犯罪者集団でもあるこの政権は、なんでもでき
るようになった。そして、じじつ、やりたい放題である。9条覆滅
から軍事・警察国家の樹立まで。人民と民主主義の名において。











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2018年07月07日

国家の殺人


A Hanging(1931)

もしも、若いひとびとが本ブログをみかけたら、先日の7人絞首刑
について、すこしでもいい、おもいをはせてほしい。あれは、世
界史的事件である。そして、その世界性において、その知の崩壊
ぶりにおいて、7人絞首刑は、相模原事件の「さとくん」の所業
にも相似することに注目してほしい。

政権はついに一線をこえた。そのことは措くとして、基本的参考
文献として、ジョージ・オーウェルのエッセイ「絞首刑」
(『オーウェル評論集』小野寺健=編訳 岩波文庫)に目をとおし
てもらえるだろうか。とくにつぎのパラグラフ。

「妙なことだが、その瞬間まで、わたしには意識のある一人の
健康な人間を殺すというのがどういうことなのか、わかっていな
かったのだ。だが、その囚人が水たまりを脇へよけたとき、わたし
はまだ盛りにある一つの生命を絶つことの深い意味、言葉では言い
つくせない誤りに気がついたのだった」

「これは死にかけている男ではない。われわれとまったく同じよう
に生きているのだ。彼の体の器官はみんな動いているーーーー腸は
食物を消化し、皮膚は再生をつづけ、爪は伸び、組織も形成を
つづけているーーーーそれがすべて完全に無駄になるのだ」

「爪は彼が絞首台の上に立ってもまだ伸びつづけているだろう、
いや宙を落ちて行くさいごの十分の一秒のあいだも、かれの目は
黄色い小石と灰色の塀を見、彼の脳はまだ記憶し、予知し、判断を
つづけていたーーーー水たまりさえ判断したのだった」

「彼とわれわれはいっしょに歩きながら、同じ世界を見、聞き、
感じ、理解している。それがあと二分で、とつぜんフッと、
一人が消えてしまうのだーーーー一つの精神が、一つの世界が」

これが原点である。そこからしずかにかんがえるしかない。




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無礼の儀


◎両陛下、この際おたずね申しあげる

無礼の儀、この際ご海容たまわりたい。あなたがたは、にんげん7人
にたいしニッポン国の名のもとになされたおそるべき殺りくを、どう
おかんがえか。大量処刑の日どりが、もっぱら皇室行事とのかねあいで
きめられたことをご存知か。

絞首刑に処されたものは、絞縄が頸骨をへしおってから、かんぜんに
絶命するまで、平均で14分間も痙攣、吐血、失禁などの生体反応をつ
づけることについて、両陛下はお聞きおよびか。刑場の明度と静謐、
空気のとどこおりは、あたかも皇居の深部のそれに似ているといわれ
る。なぜか?

両陛下、あなたがたは死刑制度に賛成ですか。反対ですか。天皇制に
賛成ですか。反対ですか。われわれはそれらを知るけんりをもち、
あなたがたは、国税で生きるひととして、それらを語る義務があると
おもうが、いかがか。

以上、おそれながら、この際おたずね申しあげる。







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執行シール


◎サイコパス政権

あるテレビ局は、絞首刑執行の情報がはいるたびに、
確定死刑囚の顔写真に順次「執行シール」をはっていった
そうだ。戦慄する。現政権は7人一挙処刑をやっても支持率は
さがらないどころか、あがるとふんだのだろう。

ニッポンは最悪の「感情共同体」である。法も文化もありはしない。
天皇制のもとに国家権力と社会が感情的に睦みあい、睦みあわぬ
ものを感情的にはいじょする。「ニッポンの感情」を、質のわるい
メディア(しかないのだが)が日々注入する。

感情共同体を操作する現政権はすでにしてサイコパス・グループ
となっている。かれらはいわゆる「聖なる陰謀」をくわだてている。
すなわち「にんげんの、頭からの逃亡」だ。かんがえないこと。かん
がえさせないこと。ただ、たんじゅんに、かんじさせること。

暴力がむきだしてきた。たおすか、たおされるか、逃げるか。それ
とも、いっしょに「無頭人」になるか・・・。






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