(負荷マックスでこれを漕ぐ。己だけの満足のために、汗を垂らし・・・)
「戸外のきれいな空気を吸いたいという欲求すら労働者はもちえなくなり、
人は文明の毒気の充満する洞穴へと帰っていく。しかも、そこは他人の支配
下にあって、家賃を払わなければ明日にも追い出されるような不安定な住居
なのだ。この死人の家にかれは家賃を払わねばならない。アイスキュロスの
悲劇に登場するプロメテウスは、人間への立派な贈物の一つとして光の住居
をあたえ、それによって野蛮人を人間に変えたのだったが、労働者にとって
はもはやそんな住居は存在しない。光、空気といった、単純きわまる動物的
な純粋さを、人間は欲求しなくなっている。ごみためと、人間の堕落や腐敗
と、文明の文字通りの下水排出口とが、人間の生きる場となる。どこまでも
不自然な荒廃と、汚染された自然が、人間の生きる場となる。人間の感覚は
もはや人間的に働かなくなるが、のみならず、非人間的にも、つまり動物的
にも、働かなくなる。」
マルクス『経済学・哲学草稿 』1844年(光文社古典新訳文庫)
ハクスリーの『すばらしい新世界』は1932年であり、とうの昔にマルクスに
越えられていた。
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