2018年05月31日

F


◎おもひで

Fと会う。ハノイとプノンペンのおもひでを話す。街灯ひとつない
夜について。ネズミ、ケジラミ、コウモリの糞、娼婦、地雷・・・メン
タムの缶ほどの。うずむ闇。加瀬さんからのメール、感じ入った。

「なにかある。ほんとうになにかがそこにある。と言ってその気持
を口に出せば、もう空ぞらしいものになってしまう」
たかをくくられている。相模原のじけんは、舐められている。
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2018年05月30日

石原吉郎


◎もっとも暗黒な時代

石原吉郎がこう記したのはたしか1972年ごろであった。
「いまは人間のこえはどこへもとどかない時代です」。
あれから46年がすぎた。「じぶんの声はどこへもとどか
ないのに、ひとの声ばかりがきこえる時代です」。70年
代につくづく同感した。

日本がもっとも暗黒な時代にあってさえ、ひとすじの
声は、厳として一人にとどいたと私は思っています。いま
はどうか。とどくまえに、はやくも拡散している」。若い
ころ、ここを気にした。いまは、きっとそうなのだろうと
おもうのみ。

暗黒な時代にあってさえ、ひとすじのことばは他者にとどい
たのだが、いまはとどくまえに、はやくも拡散してしまう。
つまりは、さらにもっと暗黒の時代に突入した。石原は民主
主義にその因をもとめたりしたが、ちょっとちがうだろう。
資本だ。資本の運動がことばをことごとく白化させ、無効に
した。

(曠野を一頭の馬が疾駆する。馬上のものがおとこかおんなか
わからない。騎手はひとしれず狂う。朝焼けにむかって走る。
馬上で、ときどき凪ぐ。ときどき狂う。黙って口をむすんで。
馬上のものは狂人である。だれにそれがわかるというのか・・・)

いまは戦時期よりも内面が廃れているとすれば、石原のいうと
おりなのだ。ヘルパーさんがジャム入りのコッペパンを買って
きてくれた。きのう、塩辛もろた。石原はスマホをもたずに
すんだ。ひとつのパスワードももたずにすんだ。それだけでも
しあわせだった。












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2018年05月29日

露店


◎「犬を売る露店(断片)」など

「犬を売る露店」をよんだ。かれのものは大抵くりかえし
よんでいるが、どういうわけか「犬を売る露店」だけは、
よみたいよみたいとおもいながら、よみそびれてきた。はた
して、この作品はドンピシャリであった。

「落花生の主人は時には夜泣きうどんの車からうどんを運ば
せたりする。古本は南京豆の袋入りを買って鼻の下の祭りを
する。万年筆やインク消しは絶えず喋っているようだし、人
足を止めていることも美人絵葉書に次いでいる」はいい。

「しかし犬屋は、いつも厚司をはき、膝小僧を出し、冷たい
甃の上に寂しく立っていた」も文句がない。きっとよいだろう
と勘ははたらいていた。だがこれほどよいとは!「城のある
町にて」を何度目かよんでいたときもおもったのだった。

もう下手なものを書くことはない。ただよめばよい。それで
決心がついた。第8回までつづけた『月』の連載をやめること
にした。読者には申し訳ないとおもう。第9回はいちぶ書き
すすめていた。が、発表はむずかしいだろう。

ほとんどのことについて感覚があわなくなってきた。あわせる
気力もなくなりつつある。ことばをつうじさせるにも、ことばが
白化した珊瑚ではどうにもならない。死んだ珊瑚をもてあそんで
「生きている」というのは詐欺だ。

『月』は血塗られた荒れ野のふうけいを、たたなわる欺瞞の
ヴェールを剥ぎ剥ぎ、もうやめてくれと悲鳴をあげられるまでつ
づけるつもりであった。しかし、悲鳴はどんな悲鳴だったか。
よくわからない、こんなんじゃ売れません・・・ではないか。

わからぬというものに、無理にわからせてやるほどおせっかいで
はない。あきらめることだ。あきらめるべきである。

月と柿の葉.jpg
(Y.Sakai)








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2018年05月27日

講演


◎講演の依頼

来年はじめに講演をしてくれないかと打診というか
依頼が会った。まだ返事してない。半年以上も先の
じぶんをみとおすのはむずかしい。生死さえ。

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2018年05月22日


◎ヌー


「何故在ったか。無くても良かったろうに。

何故在るか、無くても良いだろうに。」

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2018年05月21日

訃報



◎消えるというのは


今朝、訃報に接した。逝くというのはどういうこと

なのか。よくわからない。どこも悲惨。ポラノンが

いる。




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2018年05月20日

コッペパン


すぐ売り切れるパン

コッペパン(クッキー&ビスケット入りクリーム)は
おいしい。150円である。消費期限18日のをけふ食った。
「わちきにも、ねえ、おくんなましな・・・」。犬が上目づ
かいでいうけれど、あげない。

犬はダメもとでねだっているだけだ。あるしゅの習慣として。
ヘルパーさんによると、コッペパンはすぐに売り切れる。
とくにイチゴジャムのコッペパンはすぐになくなる。

オーヴィネンの「嫌いなことば」リストには、そういえば
「自己責任」はないみたいだ。それを書く。
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2018年05月19日

遠近法


◎犬・バッグ・車道・世界

犬がバッグから落ちて、車道に走りでる。車が1メートル
ほど手前でとまってくれる。犬、車道でうずくまる。気が
動顛。世界がそこだけになる。

「ウマラの生死を分けた3週間・・・」だって。なぜこれも
フェイクにみえるのか。フェイクだからフェイクにみえる
のさ。

「泥夜」という名詞はなぜないのか。いや、あるのかも
しれない。と書く。
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2018年05月18日

鼻血


◎叫喚

「それは、自分の耳で実際に聞いた人でない限り、
想像もつかぬような叫喚であった。祈りの文句も
あったし、呪詛の叫びもあった・・・」
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2018年05月17日

感想


◎砂かむ空しさ

昨夜Oさんからメール。毎日新聞夕刊記事への感想。
「私たちが抱えつづける砂をかむような空しさの意味」
「抵抗すればするほど空しさは増し、心身がどんどん
すり減り・・・」「手足をもがれるような感覚」――などと
つづってある。同感。

商品広告にびっしりと埋められた時空間の、ほんのわずか
ばかりの間隙(善悪の彼岸)に、わたしたちは、のぞまれ
もせず、えらばれもせず、消費のみを期待されて、じつに
とりとめなく生かされている。死ねりゃあまだまし――は、
『神々のたそがれ』のなかの台詞だったか。死ねりゃあま
だまし。



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2018年05月16日

夢のなかの発狂


◎ヘーゲルでしょうかね

人間は、すべてのものを、じぶんと不可分な単純さの
なかにつつみこんでいる闇であり・・・つまり、人間の
内に存在しているのは闇なのである。ポムゼルの話を
聞きつつ、おもふ。

けっきょく、老女は謎をあかしてはいない。ポムゼルの
存在と消失は、映画監督の想像力と野心より霧のように
深い。

夢のなかでは冷静に発狂する。『月』(にくづき)に
もどる。もどるにしかず、だ。

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2018年05月15日

ポムゼル


◎ポムゼルの指輪

けふもポムゼルの話をぼうっと聞いていたら、かのじょが
きれいな指輪をはめていることに気がついた。103歳に
なって、神はいない、悪魔だけがいる・・・とかたることの
すごみに触れ、それがとくに哲学的でもない〈ありふれた
事実〉であることに、あらためておどろく。

実時間に気づくことの、絶望的なまでの不可能性。いまも
そうだ。わかったようなことを言うべきではない。聴きいり、
見いり、かんがえこむしかない。日常にはいつも善悪の彼岸
がひらける。善でも悪でもない地平。すべてはなんらかの価値
と理由をもっているというのは、まっ赤なウソだ。

おもいきって、犬に「結婚してください」といったら、あくび
された。『神々のたそがれ』。

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2018年05月14日

記事


◎明日の毎日新聞夕刊

もしも予定どおりであれば、明日(15日)の毎日新聞夕刊
に長いインタビュー記事が掲載されます。たぶん。「官僚」
の心性からマスメディアの頽廃、はたまた連載小説『月』
(にくづき)のことまで、あれこれ言いたいほうだい。
そのまま載るともおもえませんが、ご一読ください。

『ゲッベルスと私』にくらべれば、ほかの映画はすべてお気
楽なエンターテイメントにおもえるほどです。ポムゼルを
だれが非難できるのか。非難できないということは、いったい
どういうことなのか。『ゲッベルスと私』をつくりえたオース
トリアと、一本の『東條英機と私』または『大元帥陛下と私』
もつくりえていないニッポン・・・の落差にはなにがあるのか。

『ゲッベルスと私』についても明日の毎日夕刊に言及あり。
6.16から岩波ホールでロードショーです。



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2018年05月13日

M


◎Mと会う

数十年来の、断続的顔貌。まじまじとみる。雨。Aさんと
長電話。変態じいさんとまじめな中学生みたいな気分。
オシッコしたくなって、切る。『ゲッベルスと私」つづき。
毎回『ゲッベルスと私』にすいこまれる。老婦人の皺と
歴史。皺の深みと錯綜。この映画の語りは無限だ。日本版
『ゲッベルスと私』はなぜ、つくられなかったのか。

わたしたちはその理由を知らないようで知っている。


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2018年05月12日

DVD


◎『ゲッペルスと私』

みる。記憶と皺。目。ノイズ。声。ハム。存在。唇。毎日の
インタービュー原稿修正戻す。昨日どこかに旅をしたように
おもう。どこにも旅なんかしていないのに。どこからか帰っ
てきたような。

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2018年05月10日

堕在


◎なんとなく朦朧として

『月』のうちあわせ。第8回初校ゲラもどす。フランクフルト学派の
巨星たちは「にんげんの最期の尊厳は、眼前のことを偽りだといえ
ることだ」と認識していたという。ほう、そうかと前は感心したけ
れど、いまはちがうな。

にんげんはそもそも「尊厳」と無縁ではないか。朦朧として景色を眺
め、いまはそうおもう。さいきん、目だけでなく、耳もわるくなった。
すべて清澄ではない。明澄でもない。清明であるわけもなし。ときに
堕在にこそ光をみる。

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2018年05月09日

サルの惑星


◎サルの支配

たまには娑婆のひとと会ってみるもんだ。きのふ、毎日新聞屈指
のインテリ記者、藤原さんと話していて、ぶったまげた。アソー
タローという口のひん曲がったサルを、ニンゲンとかんちがいし
ているアホがきょうび、いくらでもいるのだそうだ。いや、びっく
りしたなあ。

事態はさらにすすんでいるやうだ。シンゾ・アベてふエテ公は
さいきん、ヒトへの肛門性交の味をおぼえ、日夜コクミンのオカ
マをほる(ただで!)のに余念なく、記者どものなかにはみずか
らケツをさしだすバカも、じつはすくなくなひといふ。me too!
とは、そういふ現象の発作的反転でもあるようだと藤原さん。
さすがの分析力。

サルをひととおもひちがひするコクミン、ボルサリーノをかぶる
文盲ザル、そうしたサルどもに肛門をレイプされてよろこぶ人民
大衆、トランプてふサル以下のゴロツキにブロージャブしてやって、
グッジャブ≠ニかいわれて喜色満面のサル・・・。

そんなんに未来はあるだらうか? なひね・・・とわたし。さうです
か、と藤原さん。きのふの毎日新聞インタビューの主たる中身はあら
ましそんなやうなことだったが、15日の同紙夕刊でどのていど反映さ
れるか、はた、掲載みおくりか・・・同紙の見識と根性が問われている。

『月』執筆でみそこねていた『ハッピーエンド』けふみた。とても
よかった!ハネケ作品の諸要素がつまっていて、堪能。トランティニ
アンさすが。なぜか、とおく『Z』(コスタ=ガヴラス)をおもいだす。

(知りませんでしたが、本ブログをチェックしようとすると、ろく
でもない広告が、こちらの意に反し、わんさかでるよし。やな
世の中ですね。JUST FUCK IT!)



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2018年05月08日

ハネケ


◎インタビュー

毎日新聞のインタビュー。3年ぶりぐらいに藤原章生さん
と会う。なつかしいもので脱線ばかり。テーマは「官僚」
だったが、なにを話したか忘れた。『月』のコピーをもって
きていて、おどろく。藤原さんは3年以上前のインタビュー
ノートを開いて、わたしの発言をよみあげた。こちらには記
憶がない。ひどいものだ。

ハネケの話もすこしした。ハネケはいい。テーマは「官僚」
だったけれど、かれからはほんとうの関心を感じなかった。
当方も大した興味はない。ああ、おもいだした。「馬鹿」の
話をした。ニッポンのことは、話すにもちからがはいらない。
話すべき物語なんかない。






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2018年05月07日

クラブジンニクバーガー


◎犬とマックにいった!

けさ犬とマック。クラブベーコンバーガーと野菜ジュースと
カフェラテ。昨日、「ソイレント・グリーン」のことを
書いたばかりだし、なんとなく、クラブジンニクバーガー
のことをかんがえながら食う。ま、マックってそんなやうな
もんだ。

数か月ぶりに裏道をあるき、エベレストに挑戦。一度目
失敗するも、二回目初心者コースはなんとか成功。藤原さんと
電話ではなす。ひととしゃべるのが久しぶりなもんで、舌ベロが
もつれる。藤原さんは『月』をよんでいた。明日のインタビュー
前に第8回をよみたいですかと問えば、yesというので、第8回を
送る。

差し替えた第8回では、さとくんがアナルセクスをしたことも
されたこともない、といふ箇所がでてくる。藤原さんは笑ふ
だらうか。笑ひごとじゃなひのだが・・・。ASはいいテーマだ。

久しぶりにテレビをみたら、中学の学校放送みたいだった。NHKの
9時のニュース。アホおんながキャッキャッと高音域で笑ふのが耳障り。
おまえ、そんなにもしあはせなのかい? せけんさまは、ちーっとも
しあはせじゃないんやよ、ねえちゃん。げんじつをよっぽど舐めてん
だろな。げんじつ舐めずにケツ舐めろ。テレビ消す。

病院は30日に延期。



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2018年05月06日

第8回


◎『月』第8回けふ送稿

『月』第8回(約56枚)をけふ送稿しました。
これで400枚をこえたとおもいますが、不満足
です。ずうっと疲れています。送稿といれちがい
にN君から第7回の感想がきました。それにロシア
映画『六号室』が添付されていて、うれしかったです。

でも、ロシア語がわからないので、英語字幕のだしかた
をおしえてくれるようたのみました。

あしたは犬とマックにいけるかもしれません。あさっては
新聞のインタビュー。そういえば、キネマ旬報社刊の
『原一男と疾走する映画たち』といふ本に、ぼくのロング
インタビューが載っています。

タイトルは「あらゆる抵抗が無化される時代をどう捉えるか
ーー辺見庸、原一男映画を語る」です。えーと、それから
親友・朴日粉(パク・イルブン)さんの新刊『過去から学び、
現在に橋をかける』(梨の木舎)にも、かなり長いインタビュー
が載っています。

朴日粉さんにはすごい存在感があり、ぼくよりよほどわかい
かたですが、これまでもたくさんのことを学びました。同著には
イルブンさんが長年にわたりインタビューしてきた三國連太郎
、小田実ら、物故者をふくむ多数のひとびとの本音がもられてい
ます。ご一読を!

月写真最新.jpg
(Y.Sakai)

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