2020年12月31日

ハルツーム


終われない歴史

2014年01月08日の壁.JPG

長崎に雪が降ったとメールがあった。病室の窓から見たと。
ハルツームから連絡があった。中央アフリカ時間は、協定世
界時 (UTC) を2時間進ませた標準時である。とくに問題はない。
R・D「世界が世界史の担い手であったことはない」「人類の
歴史はつねに特異な片隅で形成されたのだ」

「不幸な意識」について。「人間はじぶんで思うような存在
じゃない」「人間が自己についていだく観念と人間の現実を混
同してはならない」。ウイルス側からみれば「不幸な意識」な
んてどうでもいい。宿主たりうるかどうか、だ。

この大崩壊時代にあっては、あらゆる「真実」が too good to be
trueとみなされる。そのような縒れた暗がりをつたう含み笑いに
耳を澄ます。終わりたくても終わることができない時間を、静かに
狂いつつ、ひたすらくり返す。朝は、バルトーク絃楽4重奏曲。

窓を、ほんの少しだけ開けて雪を見たらしい。その窓は海側だった
か、坂側だったか。大事なポイント。

明日からはますますひどくなるだろう。それでも終われないのだ。
しかし、「人類共通の敵」という言い方をこのまない。人類共通の
敵とは、すなわち人間だし、言い方がつまらない。

ハルツームに行きたい。バタンバンに行きたい。チッタゴンに行きた
い。長崎に行きたい。霧。








posted by Yo Hemmi at 17:44| メモ | 更新情報をチェックする

2020年12月29日

馬の腹のなか


たったひとつだけ

おととい、眠剤をのまずに寝ようとして眠れず、
気が変になった。死んだばかりの馬の腹をナイフ
でたちわり、臓物を手づかみで食らい、まだ生温
かな空洞にもぐりこんで、眠る。血だらけになって。
映画『ゴールデン・リバー』。

ひどい1年だった。たったひとつよかったのは、
死刑執行がなかったことだけ。「反死刑」という意
思がはたらいたのではなく、ようするに法務省が忙
しかったからという説もある。五輪まえのポーズ説
も。このクニは死刑を手放さない。
 
株価大幅続伸。1990年8月以来、約30年4カ月
ぶりの高値で、バブル期以来の水準。終値ベースで
2万7000円台は約29年9カ月ぶり。しかし、
「なぜ」がない。「なぜ」は求められていない。ただ
ひたすら狂うのみ。

マックが満席で外のベンチでコーヒー。

寒夜、死んだ馬の腹のなかで、肝にまみれ、どろどろと
眠る。






posted by Yo Hemmi at 15:06| メモ | 更新情報をチェックする

2020年12月18日


Mt.Fuzu

Mt.Fuji.jpg

くそ!スーパーで、タタタ蛸(モーリタニア産)を
買ふたのに、食ふのをわすれた。

《果しておれにあれができるだろう か? いったい
あれは重大なことだろうか? ぜんぜん 重大 な こと
ではない。 とすると、幻想にとらわれて一人で いい
気になっているわけだ。 あそび だ!そうだ、どうや
らこれは あそびらしいぞ!》
工藤精一 郎=訳

そっか。あそびか。テロでもあるだろうに。

おそろしく子どもじみてきている。タヌキ顔のおんな
が飯の食い方まで説教しやがる。図に乗っている。キ
ツネ顔のおとこがタカドマリとかバカドマリとか言ふ。
死人(ドザエモン)顔のおとこは、会食がどうとか、
そこは控えさせてとかしゃべくる。

やつらは犯罪者である。政治の始原は犯罪である。犯
罪の始原は政治である。






posted by Yo Hemmi at 14:07| お知らせ | 更新情報をチェックする

2020年12月17日

idiot


顔の下半分

ルーバー.jpg

「顔の卑げにできている下半分の見つきをよくしていた」
書いたのはドストエフスキーだった。中山省三郎=訳。
マスクによる面相隠蔽の意味がやっとわかった。顔の下半分
は卑しいのである。ただれた陰部のように。

しかしながら、あのおとこについては顔面隠蔽が意味をなさ
ない。マスクをしても隠せないのだ。なぜか。ずっと気にな
っていた。けふ気がついた。あれは屍体の顔だからだ。
屍体がマスクをしている。






posted by Yo Hemmi at 18:43| メモ | 更新情報をチェックする

2020年12月16日

『霧の犬』


沼野充義さんの解説

霧の犬 文庫.jpg

岩波現代文庫として近く刊行予定の『霧の犬』(鉄筆)に、
沼野充義さんから大変貴重な解説「それはすでにはじまっている」
をお寄せいただいた。
posted by Yo Hemmi at 15:00| お知らせ | 更新情報をチェックする

2020年12月13日

シュッ!


なんでもない

スプレー.jpg

ファミレスにいたのさ。バフンみたいなもん食ってた。ワシワシ・・。
窓の外。母子が通りかかる。制帽をかぶった男児。母子ともにマスク。
子ども店に入りたがる。駄々をこねる。店の入り口の階段に座りこみ、
ついで、仰向けにたおれて足をバタバタ踏みならす。

母、入店をこばみ、男の子を冷然と睨む。無言。若い。花柄のマスク。
子どもしつこく入店をせがむ。と、母、ポケットからなにかとりだす。
スプレーだ。男の子の顔にプシュー!男の子、バネ仕掛けのように起き
あがる。母子なにごともなかったかのように駅方向に歩きだす。

たぶん、母も子もやりなれ、やられなれている。あのスプレーはなんだ
ろう。防犯スプレーか。胸が凍える。
posted by Yo Hemmi at 16:09| 日録 | 更新情報をチェックする

2020年12月10日

憲法蹂躙


「敵基地攻撃能力」など要らない


大樹.jpg

政府は地上から艦艇を狙う陸上自衛隊の12式地対艦誘導弾(SSM)
の射程を延ばし、「敵」の射程圏外から攻撃可能な長距離巡航ミサイル
として
開発する方針だという。はばかりながら、わたしはこの方針につ
よく反対する。

わたしが反対しようが屁でもなかろうが、長距離巡航ミサイル開発は戦
後の平和政策からのとんでもない逸脱である。政府はどこに戦争をしかけ
ようというのか。北朝鮮か。中国も黙ってはいないだろう。中国と戦争す
る気か。正気か。

方針どころか、長距離巡航ミサイル開発はすでに「見通しが立った」と公
表したからには、ニッポンの軍需産業はコロナ禍のなかすでに活況を呈して
いたのだろう。

あの胡乱な目の特高面は、憲法9条など歯牙にもかけていない。前代もなし
えなかった大がかりな憲法破壊を、気味のわるい薄ら笑いを浮かべながら
平然とやる気である。国産の長距離巡航ミサイル開発は史上初めてであり、
あきらかにこのクニの「内面の変更」でもあり、「戦後の誓約」の放棄であ
る。

ぜったいに反対する。

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(一発狂者としては、タルベーラの『サタンタンゴ』の経験があれば、ひとま
ず安心ではなかろうか)。ホッ。アリ・アスターの口の音。フォ。吸気。吐気
とほぼ同時の。ホッ。『罪と罰』の7。

posted by Yo Hemmi at 16:27| 所感 | 更新情報をチェックする

2020年12月09日

ねばつく


粘度

ろうや.jpg

さなえさんは昨日もおられなかった。安否をたずねるのも
気が差して、キョロキョロするばかり。左目だけがよく見
える。右目はだめだ。左目でさなえさんの影をさがす。死
んだのか。殺されてしまったのか。埋められたのか。右目
からは涙もでない。あふるる意気の朝ぼらけ。そんな歌を
お歌いになられただらうあなた。あなたの口臭。土中から
くゆりたつセクシーな口臭。「敵弾が作った池のほとりに
て」井伏鱒二。イライラする。さなえさんをさがす。頭の
小さなやつらばかりだ。ユニクロのパンツはいた小頭集団。
さなえさんは餓死したのだらうか。かくの如きを何にたと
えん。苛ついて機関銃を乱射すぃてはならなひ。
posted by Yo Hemmi at 18:15| 日録 | 更新情報をチェックする

2020年12月07日

無用者階級


犬が脱臼し、翌日なおった

枝.jpg

ローケンに行った。ひさしぶり。さなえさんいなかった。
犬、後ろ脚脱臼し3本脚であるくも、昨日なおったみたい
だ。友人が2人入院した。ユヴァル・ハラリのどこがおも
しろいのか、わからない。家に蜘蛛がすみつく。きのうか
ら姿をみせず。スーパーで買ったイチゴ大福。想像より小
さい。
posted by Yo Hemmi at 15:05| メモ | 更新情報をチェックする

2020年12月04日


蜘蛛

陽.jpg

脹相ー壊相ー血塗相ー膿爛相ー青瘀相までみたところで目が
さめた。しょうおそう。だれの? じぶんのだよ。あんがいに
きれいなもんだ。じぶんはじぶんに臭わないしな。ほんちゃんは
死んだ犬のためにドライアイスを買ってきたらしい。『青い花』
岩波現代文庫版50冊左手でサイン。僧帽弁閉鎖不全の犬、編集者
の足に噛みつく。示談。慰謝料。発生せず。ピモベンタン。3錠。




posted by Yo Hemmi at 14:47| メモ | 更新情報をチェックする

2020年12月03日

目玉


水晶体を替えたからか

夕陽.jpg

「ふつうに」というやつだ。街にでたら人がふつうに歩いている。
でも奇妙だ。死後の風景か。人工の水晶体越しの光にいつまでも
慣れない。目玉を入れ替えたんだ。しかたがない。

だれとだれがどのように死に、だれとだれが依然、死ぬ気でいるの
か。わからない。「来年はもっとはっきりしますよ」。遠縁のお化
けが言ふ。だれとだれが飢え死にしかかっているか、明確になる。
ミエルカする。可視化するのですよ。

まだ暴動は起きていないのだという。起きそうな気配もなひ。
バカが「時に熟れて赤くなった唇」(Celan)で、ありもしない希望
に関してしゃべくる。

鉄路に靴を履いた両脚(膝下)が「落ちて」いる。隣駅までずっと。
上体はない。目玉は(よく見ろよ、バカヤロウ!)いくらでもバラス
トに埋まっている。

線路際のアパート。真っ赤なトウガラシを窓に一列に干している。
揺れている。トウガラシが真っ赤に揺れている。あれらは、「血よけ」
なんだってさ。

岩波現代文庫『青い花』にサインするように依頼あり。落款も。
「生活と自治」連載の書籍化タイトルは『コロナ時代のパンセーー
パンデミックまで7年の思考』
(仮題)とする。





posted by Yo Hemmi at 16:20| 日録 | 更新情報をチェックする

2020年12月01日

『霧の犬』


abstract art

霧の犬 文庫.jpg

眼科。よく見えると思ったり、霞むと感じたり、一定せず。
一定・・・そんなものないのかもしれないが「そんなもの」とは
どんなものか、わかっていない。『地下室の手記』しばらく
はまる。なにが新しくなにが古いかわかったもんじゃない。

売春宿で女性と性交後に説教したり反省したりする哀れと滑稽。
『地下室の手記』には闇や貧困、偽善の基層がみえる。どきどき
する。

「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」・・・人びとが
まだ一定の秩序のなかにいるのを不思議に思う。目の端で、じつは
たがいに様子をうかがっているのだが。『霧の犬』岩波現代文庫版
の装丁案くる。

abstract art。線路に靴を履いた両足(脚か)。『三四郎』は首だったな。
若い女性の。『三四郎』のあのシーンだけ惹かれた。あの作品のなにがよ
いのか。わかったことがない。わかろうとしたこともない。足や首にただ
胸をしめつけられる。

「あれ」からなにかが根本的に変わったというわけではない。
ずっと、ずるずるとダメになっていたのだ。工藤正廣さんから
最新作『チェーホフの山』(未知谷)をお送りいただく。ものすごい
エネルギー!

心臓のよくない犬、よく寝る。よく食べる。

チェーホフの山.jpg




posted by Yo Hemmi at 17:57| お知らせ | 更新情報をチェックする