辺見庸ブログ Yo Hemmi Weblog

「『資本論』という作品が卓越しているのは、それが資本制生産
の秘密を暴露しているからではなく、このありふれた商品の��き
わめて奇怪な�＄ｫ質に対するマルクスの驚きにある。･･･」
『マルクスその可能性の中心』

トラ、オシッコ出るようになったらしい。明日、ヘルパーさん
誕生日。

　

「 彼は一生 を通じて、大まじめに信じきってきた。
すなわち、自分はつねにある階層から危険視され、
その一挙一動はたえず監視され、筒ぬけになっている、
と。･･･」

妻がニンチになったという同い年の男。けふも黙々と
働いている。鈍色の影が心なしか濃くなっている。

Israeli airstrike hits girls' school that houses displaced people in central Gaza, killing at least 30.

祝祭をむしろ呪う者ら
眼窩の
古井戸のように
何処までも深い、黒い奴ら
順わぬお前たち
臭い息
濁った血
汚れた皮膚
幸いあれ！

「疎外はそんななまやさしいものではない。
われわれから離れたわれわれの一部分は、わ
れわれに絶えずつきまとうことになる。モノ
（モノとなった魂、影、われわれの労働の生
産物）は復讐を行う。奪いとられたものはす
べてわれわれに否定的な意味で結びつく、つ
まり妄想となって取りつく。売られ、忘れら
れたわれわれのこの部分は、依然としてわれ
われそのもの、いやむしろわれわれの戯画、
われわれを追いまわし拘束し復讐する亡霊な
のである。･･･」
（『消費社会の神話と構造』1970年）

もう54年が過ぎた。何を学びえたろう？
もはやわれわれの戯画、われわれの亡霊と気
づくことさえない。「笑い死に」している。
暑い。すべての罅。細かに壊れつつある。

「百五十 三 　 日露戦争の当時、 満州では不思議なこと
ばかりが あったと謂う。ロシアの俘虜が言うには、 黒い
軍服の日本兵は射てば斃れるが、白い軍服の日本兵は幾ら
射っても 斃れないのだ そうである。」
（京極 夏彦; 柳田 國男. 遠野物語拾遺retold）
なぜなら、白い軍服の日本兵などもともといなかったから。

くだらぬ話だ。逆立ちばかりしている男の話のほうがいい。
逃亡した林ナナさんは未明にもどってきたらしい。友人が
車中ボソッと言った。「かみさんがニンチになったらしい」

（網戸に張り付く林ナナさん）

林ナナさんを尊敬している。群れない。仲よくしない。
媚びない。甘えない。無口。ゲバルトOK。逃げない。
いつも独り。

「灯が消えた。くらやみを背負って母親が出て来た。･･･」
（梶井）

トランプが出てくると世界がチープなポルノになる。
セカイとは、もともとそうなのかもしれないな。

ティタリーラレルーナ、お屋根のてっぺんで。
･･･山本リンダ

Israeli airstrikes kill at least 13 people in Gaza refugee camps
The war in Gaza, sparked by Hamas' Oct. 7 attack on southern
Israel, has killed more than 38,900 people.

か弱い悲鳴を聞く。buddyが消えようとしている。
わたしの器官が。柔らかな影が。唯一の平穏が失せ
ようとしている。回教徒の祈りの姿をして痛みに堪
えようとしている。わたしは三半規管を失おうとし
ている。

「馬 　軍港を内臟してゐる」と書いたのは北川冬彦か。

数千人が一斉に「USA、USA、USA･･･」と叫ぶその心性。
気味が悪い。嗚呼、その心性が、例えばベトナムで100万
もの人びとを殺しえた。

「おそらく死に際の幻覚には目にたてて見る塵もない
自分の家の前庭や、 したたり集って来る苔の水が水晶
のように美しい筧の水溜りが彼を悲しませたであろう。
･･･」（「温泉」 断片 一）

忘れていたことをある悦びとともにふと想いだす。梶井
の文はひとを救うともなく救う。

30X手持ちルーペ買う。骨と皮に痩せた犬は寝てばかりい
る。体重2キロを切った。食い気はまだある。そろそろご
飯だ。　

『エレファント』面白かったな。
キャッチコピーは「キスも知らない17歳が
銃の撃ち方を知っている」だったっけ。

『怪物團／フリークス』。この中にトランプも
バイデンもネタニヤフもいる。いや、いない。
そこまでの悪党はいない。

ノンチャンバンドのヴォーカルが「インデンプの歌」を歌っ
ているらしい。これはね、朝鮮人をバカにしたひどい歌だっ
て知ってるよね。「チンチンチナポコ」は中国人をバカにし
た歌。俺は両方歌える。

「個人は国家を圧政だと感じとる。個人は自分の理性によって
国家を望んだにもかかわらず、国家が有する非人称的運命のな
かに、もはや自分の理性を認めることがないのだ。･･･」
エマニュエル・レヴィナス『全体性と無限』

気象通報を聴く。
気象通報は性的だから。

ロープシンは言っている。撃つならちゃんと命中させよ。
汚い耳じゃなく。芝居？ハハハ。

また観る。ヘルパーさんコロナでしばらくお休み。
ガーン！ご快癒祈る。

「不幸な者のいるところ、神はあまねく犬を遣わす
なり」

犬の一つの欠点ーー人間に忠誠を誓うこと。

「輪がひとつ見える、」とバーナードが言った、
「ぼくの頭の上にぶら下がっている。光の輪が揺
れてぶら下がっている。」 　
「薄黄色の厚い板が一枚見えるわ、」とスーザン
が言った、「紫の縞のところまで延びている。」
ーーヴァージニア・ウルフ「波 」
（佐藤直敏＝訳）

左脇腹。痛みおさまりぬ。一旦。ま、比較的に謙虚
で無慾なる一日。が、右肩痛い。

那須さんらからメール。懐かしい。
体調よくない。躰、痛い。あまり歩けない。
のんち、よく食う。「人格者」。
前足に顎をのせて伏せ、
日がな一日わたしを見ている。

最も没入した中国映画のタイトル
を忘れた。ああ、『象は静かに座っている』
だったか。泣きたくなるほど好きだ。
書けなくなったら『象は･･･』を想いだそう。

マヒ痛激。ローケン休む。『断腸亭日乗』のことを
書こうとしている。それはしかし半藤一利さんが
実に深々と書き尽くしている。駄文を重ねるは愚か
なりと読み耽る。

（独自）
天皇陛下、20代で買ったネクタイ姿で「雅子と思い
出語った」地へーーなんてのが麗々しく朝日の特ダネ扱い。
荷風が嗤うぜ。

『ノベンバー』は佳い。
体調芳しからず。
視力も落ちる。
犬が寝ている。
俺の骨と彼女の骨と
混ぜて振ってジャラジャラ
してもらうことになっている
その犬が完璧に寝ている。

見る間に暗んだ。

原稿を1本やらねばならない。犬が腹を壊している。
今朝は嘔吐。しゃがんで拭き取る。「大丈夫？」。
声をかける。反応せず、遠くを見てなにか考え事を
している。

Mさん、ナオジよ、俺、視床痛超極激だけど、明日
原稿やるけんね。ああ、痛え。

『テイキング・サイド　ヒトラーに翻弄された指揮者』
フルトヴェングラー はナチス協力者だったか？

茴香の花を捧げもっていた
あの親子。
消えた。
幼児だろうに、
老人の顔をした子。
母は揶揄う者らを
茴香の花で
打った。
鬼の形相。
わたしも打たれた。
樟脳臭い
黄金色の粒が舞う。
粒、眼に刺さる。
霞む。
消えた。