2017年10月24日

戦争の生成


◎発音できない〈悪〉

ポール・オースターは「白い空間」で書いた。未来形で。
「なにかがおきる、そしておきたとたん、もとにはもどれなくなる」。
しかし、なにかは、とっくの昔におきた、そしてもうもとにはもどれな
くなっている。

犯罪者が、じぶんの犯罪を帳消しにするために、国会を解散し、勝つの
をみこして総選挙にうってでた。そして勝った。このプロセスぜんたいが
犯罪を構成していることを、あのおとこは知っている。政治とは人民をま
きこんだ犯罪そのもの、またはその変形であることを、あのおとこは熟知
している。

目には見えないヘブライの〈神〉は、発音不能の名前だったらしい。
じっさいは100近くの名前があったのだが、どれをとっても「理解できないもの」
「語りえないもの」「目視できないもの」だった。それはわたしたちがいま眼前に
していながら、発音できないでいる〈悪〉とかぎりなく似ている。

この結果は、けっして狂気の産物ではない。戦争が、おどろくべきことに、
狂気の産物ではないように。これはむしろ知性と理性と文化の結合である。
暴力と知性と政治(的な意思)は三位一体となって、ますます戦争を生成する
だろう。ことばは、戦争の生成にまったく追いついていない。




posted by Yo Hemmi at 17:55| 所感 | 更新情報をチェックする