2018年12月29日

さなえ


さなえは最初いなかったが、あとから現れた

さなえはあとから現れた。わたしに知らぬふりをした。
髪がきれいにとかされていた。少し短くなっていた。
一本締めのとき、それまで垂れていたうなじが、ぐいとも
ちあがった。

死刑は昨日だったか、一昨日だったか・・・。あたまがよどんだ。
死刑のことをさなえは知らないのだろう。さなえはスヌーピー
の膝掛けをしていた。

桃太郎さん、ももたろさん・・・。みんながうたった。さなえは
うたわなかった。わたしもうたわなかった。樹皮のめくれのよ
うな耳に口を寄せた。「ラブホ行こか・・・」

あーげませう、あげませう、これからオヌのせーばつに、
ついてゆくなら、あげませう。みながうたった。さなえはうたわ
なかった。わたしもうたわなかった。

しかしながら、このごにおよんでもさなえは世界となにか協調
したがっているやうにみえた。樹皮のめくれのやうな耳に息を
ふきこむ。さなえは少し膨らんだ。
posted by Yo Hemmi at 18:23| メモ | 更新情報をチェックする