◎二〇〇五年十二月三日の「誘発」または奇蹟
わたし(打ち明け話のしたい気分で):「寂しいよ。」
彼女:「わたしも。」
(ピエール・パシェ『母の前で』根本美作子=訳 P98 岩波書店)
パシェに作り話はない。やりとりは孤独な母子の会話のごとくなされ
たのだ。まるでかみあっているかのごとくに。「母」は加齢黄斑変性。
わたしも。
R君と話す。苦境が去るのを待つのでなく、このただなかで書くべき
ではないのか。どのみちいつまでも終わりはしないのだ。
犬が牛の乾燥ピズルを嚼んでいる。ピズルの臭いが部屋に充満してい
る。むせる。「目の下に隈ができている」と言われる。
「馬のなかの夜と港」は次の日曜日(21日)の新聞に掲載されるら
しい。み、アパさがし。またからぶり。