2019年05月23日

逃走


人間を人間たらしめているものの限界・・・

毎日、音から逃げて街から街へとほっつき歩く。顔中に
刺青をいれた老人をみた。わたしにむかってなにか呟い
た。低く罵ったのか。「ヒトデナシ・・・」

「人間を人間たらしめているものの限界・・・」。だれが
言ったのか。思いだすまでに3ブロック歩く。杖をつい
て。赤い帽子をかぶった小学生の長い列。恐怖。

「お気の毒なおじいさん・・・」。幻聴か。杖をあいまいに
ふりあげる。「人間を人間たらしめているものの限界・・・」
ーー根本美作子さんが『母の前で』の「訳者あとがき」で
書いていたのだ。

小鳥がするどく鳴いた。空気を斬った。

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posted by Yo Hemmi at 17:09| 日録 | 更新情報をチェックする