2019年12月29日

愛読者カード


これもひとつの激烈な邂逅であるとおもう

マヒ激の日。目がかすむ。平衡感覚なし。共同通信記者、
毎日新聞出版編集者とランチ。編集者が『純粋な幸福』の
愛読者カード(コピー)をもってきてくれた。69歳の
パーキンソン病の女性読者。書字のふるえを詫びている。

清冽な精神、伝えようとする心の強度、孤独の深み・・・。
ごじしんの痛みのなかから拙著を読んでいる。だれも知ら
ぬ淵に沈み、あえぎながら言葉を発している。

がん闘病中の60歳の男性。「何度も読み返してみたら、少し
ずつわかりかけてきた。死ぬ前に読んでみたい、もう一度だ
け。わかるような気がする」。震える。

「サンデー毎日」の拙文(「韓国について何を知っていのか?」)
への感想も読ませてもらった。83歳の元都立高校教員、79歳の
シナリオ作家らのきわめて、きわめて真摯な投稿。

世の中棄てたものでない、などと言うまい。ただ、原稿をしたた
め、読んでいただく薄暗がりの模索と読者とのめぐりあいに、こ
のたびはなにか激烈な火花が見えた気がしている。


posted by Yo Hemmi at 18:16| 所感 | 更新情報をチェックする