○さとくんに死刑判決

(Lars von Trier “EUROPA”)
殺人がいけないのなら、司法はなぜ死刑判決を
くだすのか。得心できるものではないはずだが、
内心ほとんどだれもがだまって首肯する。
せいぜいはっきりしているのは、死刑は国家の
「専権事項」ということーーそれを死刑宣告と
執行によってくりかえし誇示すること。
さとくん、きみがもっと世ずれたひとであった
なら、もっと悪ずれしたおとこだったなら、
こうはならなかっただろうに。
さとくん、きみの真の罪は、「悪」一般からで
はなく、きみの「悪」より格段に透明化した、
「善」に見まがう沼から立ちのぼってきた・・・
そのことに気づかなかったことだ。
国家は死刑を手放さない。未曾有の疫病禍に
あっても、戦争においても、断じて・・・。
光のなかの光は、いつも
人間の行為ではなく
その動機を洞察する。
影のなかの影は
その行為をしか見ない。
ーーW.B.Yeats:
The Countess Carthleen
参考
長崎新聞 愛媛新聞.pdf
熊本日々新聞 琉球新報.pdf