○屈辱の社会

ジョック・ヤングはある意味で面白い。「矛盾を感じないです
む社会」は、資本主義にとって別種の社会的完成である。屈辱
の社会をよろこんで受け入れることは、屈辱の感覚と概念が溶
解していることを意味する。プレカリアートが「たたかう」と
はかぎらないのだ。かなしむべきことに。排除されても差別さ
れてもみすてられても「たたかわない」。
ボードリヤールは、だが、「発作」の可能性はあると言った。
あるいはテロの。組織的「たたかい」は望めなくても。ドナルド
暗殺を夢みる無産者はいるだろう。
アパートの屋上でスズムシが鳴いている。