○バルセロナの犬

上野君が送ってくれる絵ハガキには、わたしの思い違いか、どれも犬が
いる。けふはロバート・キャパの「空襲警報」(1939年1月)がとどい
た。胸がしめつけられる。警報が鳴り女性はあわてて防空壕へと駆け足。
犬は女性に呼応して走る。動きのぶんだけブレがあり、ブレが恐怖を伝え
る。最初にこれをみたのはいつ、どこでだったか、憶えていない。ただ、
危急のときの内面が活写されている。
犬には女性とともに走ることの「悦び」があるのかもしれない。悲しくお
かしいそのギャップが写真の魅力になっている。写真からサイレンの音が
聞こえてくる。
同居犬の咳がなかなかおさまらない。