2022年05月18日

『自律 Autonomous』 


山之口貘の「ねずみ」を想ふ

自律.jpg

生死の生をほっぽり出して
ねずみが一匹浮彫みたいに
往来のまんなかにもりあがっていた
まもなくねずみはひらたくなった


映画『自律 Autonomous』をみた。「ねずみ」を
想った。ねずみはわたしであり、あなたであり、す
べての記憶である。

ねずみは
ねずみでもなければ一匹でもなくなって
その死の影すら消え果てた


兵器を送るだけ送って、参戦はしていないと正義
をきどる米国と、心身ともに病んだロシア。じゃあ
ニッポンはなんなのだ。

たとえば「徴用工」を忘れ、あるいは忘れたふりをし
て・・・。

ある日 往来に出て見ると
ひらたい物が一枚
陽にたたかれて反っていた


『自律』はこころみに言葉を消し、轢かれたねずみを
食う。ありえないのだが、わるくはない80分だった。


posted by Yo Hemmi at 18:11| メモ | 更新情報をチェックする