○青黒い影たちが歩いている、一列になって、ゆっくりと・・・

つい1月か2月に会って話し込んだ友人、知人が、いま影となり、
向こう岸を一列になって蹌踉と歩いている。最後尾に加わろうと
する。ただ哀しいのではない。悔しいのでもない。なにか、
「落ち度」がこちらにあるように思われるのである。厳然と、そ
れはそうなのだ。最後尾に加わろうと駆けよる。慌てて・・・。
明日のことは思わない。今日だけ、いま在るだけのことを思う。
向こう岸の列が、うるむ。瞬く。
ビルケナウという到達点にすでに到達したのに、再び到達しようと
している。