
咲き残った彼岸花が眩しい。仔細に見ると少し萎れている。
この朱はいまさらの虚勢だ。遊歩道を病んだ犬と歩いていて、
枝ぶりのよい樹をさがす主人公を思いだす。その主人公が思う
のだったか、それは別の小説だったか忘れたが、首をくくると
体重で首が1尺ほど延びてしまうとイメージするのだった。約
30センチ。絞首刑だともっと勢いをつけるから1尺ではすむ
まい。目玉も飛びでるらしい。彼岸花が悪いのではない。わた
しの想念がよくないのだ。
街をそぞろ歩き。人びとはただの影絵みたいに勢いをなくして
いる。元気なのは却って精神を病んでいるのか。
喉がおかしい。内側からつきたての餅のようにせり上がってくる
ものがある。
馬はなぜ馬なのだろうか?あんなにも美しい眼をして。吻のなだ
らかな曲線。
ポランスキーを少し観る。
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