
「(人間は)歩くというより、引力と闘いながら、内臓を入
れた重い肉の袋を、せっせと運搬している感じだ。誰もが帰
ってくる。出掛けた所へ、戻ってくる。戻ってくるために、
出掛けて行く。」ーー『 燃えつきた地図』
喪失を喪失と感じられる時代があった。いまは巨大な黒い穴の
ような喪失しかないのに誰もそうは思わず、自覚なき失見当識
者としてヘラヘラ笑って彷徨い歩いている。悲惨な幸せ。
日本近代文学館が2024年夏期企画展として、〈中島敦「山月記」と
その時代〉を開催するらしい。6月22日〜9月7日。
ガザ――――ラファ。わたしはどこにどうやって何時まで立ちつく
せばよいのだろうか。呪詛では済まぬ。呻きでは済まぬ。
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