2024年06月12日

「渾沌未分」

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「小初は、跳ね込み台の櫓の上板に立ち上った。
腕を額に翳して、空の雲気を見廻した。軽く矩形
に擡げた右の上側はココア色に日焦けしている。
腕の 裏側から 脇の下へ かけては、さかなの背と
腹との関係のように、急に白く柔くなって、何代
も都会の土に住み 一生分の水を呑んで系図を保っ
た人間だけが 持つ冴えて緻密な凄みと執拗な鞣性
を含んでいる。・・・」

川端はついに岡本かの子を評価しなかったらしい。
しかし、かの子はいい。



posted by Yo Hemmi at 22:27| お知らせ | 更新情報をチェックする