2024年12月18日

アンニュイの犬

non.JPG
(生後3か月のノン)

勿論、「おい、しっかりせんかい!」と自分に言い
きかせてはいる。けれども、ズルリと崩れていく。
コラープスcollapse。自己崩壊。足がもつれる。犬一
匹の死で、世界が変容する。collapseそんなバカな!

気がついたら、ケージにいつもの灰色のクッションが
ある。犬の食器には新しい水がある。トイレもある。
ケージの戸は開けてある。オシッコはないけれど、犬
は今たまたま不在という設えだ。いつものように寝た
ければ戻ってくる。今はたまたま居ないだけ・・・。

見かねたヘルパーさんの計らいだ。しかし、居間には骨が
あるのだ。白々と。厳然と。

よく「消える」犬だった。あわてて探し回る。クローゼット、
ベランダ、書斎のデスクの下。トイレ。好きなところで好
きなときに、唐突にバタリと寝る。

下から首をひねり、わたしを見上げる。しばしば皮肉ぽい、
非難がましい眼で。小さいくせに圧倒的な存在感。

15年11か月。彼女とはとことん話した。無について。無意味に
ついて。パレスチナについて。ネタニヤフを噛み殺せ!

怠惰でふしだらな、生きること存在することの懈さ、ennui
を漂わせる、音痴の犬。俺の姐御。

掠れ声で青江三奈を歌ってくれた。フフフ。含み笑いする犬。

骨。新品の。白い、あまりにも白すぎるよ。

ありがとう、のんち・・・。

ああ、どうしても足がもつれる。部屋の中で杖をつく。
collapse・・・





posted by Yo Hemmi at 15:12| お知らせ | 更新情報をチェックする