
「顔は内包されることを拒みながら現前している。
この意味では、顔は了解されえない、言い換えれば、
包含されえないものであるだろう。・・・」
『全体性と無限』 (講談社学術文庫) (p.321)
能うかぎり目にしたくないものは、にも拘わらず、
在り続けるのである。それは視覚のカオスなのであり
、小癪にもある種の神≠ニして降りしきる雨に、
顔≠スるを主張しつづける臀部および肛門を晒すの
である。紛争を回避するにはわが眼(まなこ)を
潰すしかないではないか。
死んだ犬は生き返らない。そんな明快な道理さえまだ
首肯できていないやつがれに明日を語る資格はない。
岡本かの子「雑煮」
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