黒ラブのムウちゃんが溶けかかったアイスキャンディー2本を
土産に見舞いにきてくれる。一本をムウちゃん、残り一本をわ
たしが舐める。どことなく犬臭い。それがいい。無口なのもよ
い。ムウちゃんのキクラゲみたいな口の襞。練乳がついている。
「甘いね」とわたし。応答がないのもいい。ラジオが気象通報
をやっている。「ヨドガワ(?)クリスタニ、テンキ、キオン、
フメイ・・・」。何だか分からない。ややあって、低い呟き。「不
明って事はないだろ、いくらなんでも」。わたしが発声したのか
ムウちゃんが言ったのか不明。昔、気象通報を好んで聴く女性が
いたっけ。娘さんが頸をつって死んだらしい。紐や綱でなく針金
の輪っかで。あの人はどうしているだろうか。ムウちゃんが欠伸
した。
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